Webジャーナリズムの可能性

8月28日、韓国のオーマイニュースソフトバンクの出資を得て日本でも業務を開始した。JANJANライブドアPJニュースなどと同様、市民記者を募って記事を書かせるスタイルのウェブ媒体がまた一つ増えた。


■オーマイニュース創刊「実名で本音を言う文化を」と鳥越編集長(ITmedia 8/28)
■ohmyNews 創刊宣言


こうした市民参加媒体の限界については、2チャンネル管理人のひろゆきさんが明快に述べており、彼の言っていることは理にかなっていると思える。マスメディアに追従するやり方では、資本力に勝るマスメディアに市民記者は勝てない、市民メディアの存在意義はないと彼は言う。


■ひろゆき氏「市民メディアはマスコミに勝てない」(ITmedia 3/13)


僕もアマチュアを組織化して仕立てた記事を読むよりも、日本中、世界中に存在しているさまざまなサイト、ブログを狩猟する方が価値は大きいと思う。しかし、膨大なWebの世界から情報を収集するのは非常に時間のかかる作業だ。インターネットにかかわって仕事をしている人、有り余るほど時間がある人ならいざ知らず、平均的なユーザーはコンテンツ集めに多くの時間をかけるわけにはいかない。この点、あらゆる分野の最新の情報をコンパクトに凝縮している新聞というメディア、その延長線上にある情報ポータルというメタファーはやはり魅力的だと思う。


しかし、効率的なコンテンツ発見のためだけなら、RSSリーダーやソーシャル・ブックマーク、はてなアンテナのような仕組みが十分に代替していると考えられなくはない。場合によってはそれらがあればOKだとも言えるし、我々はそうした与えられた道具を使ってもっとも効率的な情報収集に努めているのだけれど、そこで一歩踏み込んで、特定分野の強力な編集者が数多のインターネットの情報を読み解き、優れた情報を読者に紹介するようなポータルがあればネットと平均的市民との距離はもっともっと縮まるだろう。このイメージの出所は、梅田望夫さんがCNET Japanに連載していた『英語で読むITトレンド』で、僕にとっての梅田さんのイメージは『ウェブ進化論』の著者であるよりも、いまだに『英語で読むITトレンド』を2年以上にわたってほぼ毎日書き続けていた超凄腕ブロガーだと言っていい。

■梅田望夫『英語で読むITトレンド』


自動化を目指すエンジニアの熱情は、数年もすれば、こうしたイメージを包含するもっと便利な道具を作り上げているかもしれない。同時に、新しいインターネットにジャーナリズムの入り込む余地があるとすれば、記事の制作ではなく、こうした編集にかかる洗練に鍵があるのではないかと思う。新しい企てが出てこないか。できないか。