緑弦楽合奏団の定期公演

今年も昨年に続き、立石君のお誘いで緑弦楽合奏団の定期公演で青葉台フィリアホールへ。昨年驚かされたこのバンドの良さは今年も健在。アマチュア合奏団ではなかなか出ない厚みのある音を備え、ちゃんと音楽を聴かせてくれる。事が何であるかにかかわらず組織の仕事では、指導者の善し悪しが如実に出る。この団体はN響のバイオリン奏者の村上和邦氏が指導をしており、立石君が指揮を執る。

今年のプログラムはシベリウスの「アンダンテ・フェスティーボ」という珍しい曲で幕を開け、ポピュラーだけれどティンパニーが入るので演奏をしづらいはずのモーツァルト「セレナーデ・ノットゥルナ」、ストラビンスキーの「プルチネッラ」から弦楽合奏用に編曲をした「イタリア組曲」、休憩を挟んでマーラー編曲の「死と乙女」という大曲で幕を閉じるゴージャスな内容。

どれもたいへん素晴らしい演奏で楽しめた。「アンダンテ・フェスティーボ」の入りは縮こまってしまい伸びやかさがなくなったところがあるように感じられたが、次第に演奏にリズムが出てくる。ストラビンスキー、シューベルトは技術はあってもセンスと愛情の欠けたプロの演奏よりもずっと楽しめる出来である。それに肝心なところでN響の村上さんがソロを取るので、彼らの演奏会は締まる。比べるのは他のアマチュアオケがかわいそうだ。この前聞いたアルミンクのブラームスに比べればこの楽団の演奏の方が様式感に秀でた演奏だったと言ってしまおう。