斎場御嶽(せーふぁうたき)に行く

一泊二日で生まれて初めて沖縄の地を踏む。夏の終わりを思い出させる気温で、上着を羽織っていると汗が滲んでうっとうしい。

仕事の翌日に斎場御嶽(せーふぁうたき)という世界遺産に指定された聖地を見学。「沖縄で最高の聖地」という謳い文句がつく場所である。中年の域に到達するに従って、霊感とか、その種のものに対して「そういうのもありかな」という態度に傾いているが、自分にはその種の感受性は皆無と見えて、現実には何かを感じるわけではない。

とは言え、自然の森と岩の造形だけで人為的な建造物が何もない場所を聖地として崇め奉る沖縄の人たちの感受性には、自分にはない何かの発現という意味で大いに興味をそそられる。

年配の土地のガイドの方に、沖縄の支配層のみが参拝を許されていたこの斎場御嶽には首里城とのアナロジーが散見されるという話を聞いたのだが、僕も1時間前に訪れた首里城で見たサムシングと相似形のあるものを偶然発見した。

それは帰宅してデジカメ写真を整理しているときに気がついたのだが、首里城でかの有名な守礼門の先に鎮座している石の建造物「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」にそっけなく安置されていたご神体の3つの石と、せーふぁうたきの心臓部とでもいうべき巨大な自然の岩の構造がそっくりなのだ。大きい岩が真ん中で割れており、これに小さい岩が寄り添う形になっている。サイズはまったく違うし、左右対称ではあるものの、首都のお城に置かれた祭礼所とせーふぁうたきで見た風景は見事に相似形だ。双方ともに王家の祈祷所というから、おそらく偶然の一致ではないはず。いったいどちらがどちらを模倣しているのか。

感性を刺激する沖縄の文化です。


■「あじこじ九州」のせーふぁうたき紹介ページ
■「オキナワ カルチャー アーカイブ」に掲載されている池澤夏樹の一文