ノット指揮東京交響楽団のマーラー交響曲第9番

昨日は東京交響楽団が新しい音楽監督であるジョナサン・ノットを迎えてのお披露目コンサートに行ってきた(4月20日サントリーホール)。

ノットっていい指揮者だと思った。聴くのは録音を含めて初めて。振りも出てくる音楽も、実にくっきりとしているが、分析的に過ぎず、とてもよく歌う。マーラーの9番はゆったりと大ぶりのテンポで始まり、第2、第3楽章でテンポを上げて激情を表現し、第4楽章は一転しての優しさ、静けさの表現が際立っていた。

前の音楽監督だったスダーンが綺麗な破綻のないアンサンブルを作るところに耳が行くタイプだったのに対し、一つ一つのセクションにしっかりとした音とアーティキュレーションを要求し、マーラーのポリフォニックな音楽をくっきりと表現するノットは、オーケストラに対するアプローチというか、求めるものがかなり異なるイメージ。たいへん興味深い指揮者が東響に来たものだ。指揮者の要求がはっきりしており、ついていけていない部分、オケの弱いところもまたよく見えるという意味では、スダーンのようにどの演奏会も平均点以上を確保できるという演奏会にはならないかもしれない。オーケストラはたいへんかも。という部分も含めて、ノットと東響のコンサートには楽しみがある。