2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ブルックナーの風景(12): ブルックナー・オルガン、墓碑、棺

聖フローリアン修道院のゲストハウスにチェックインをし、旅装をほどくと、すぐその足で聖堂に向かいました。聖堂とは、英語のbasilica をここではそう呼んでいるのですが、ほんとうは何と書けばもっとも不都合がないか、しっくりくるのか、キリスト教の知識…

ブルックナーの風景(11): 聖フローリアン修道院の「大理石の間」

聖フローリアン修道院は、春から秋のシーズンには観光客向けにガイドツアーやオルガン・コンサートを開催しているのですが、私が出かけたのは3月でしたから、これといった催し物はなく、そうすると入れる場所、見学ができる施設は限られてしまいます。それは…

ブルックナーの風景(10): 聖フローリアン修道院に泊まる

ザンクト・フローリアンはリンツの街から南南西に18キロ、乗り合いバスで30分ほど下った森と畑が広がるエリアに存在する町です。このザンクト・フローリアン(聖フローリアン)というドイツ語の地名ですが、日本語では聖フロリアヌスという3世紀に実在した人…

謎のAEIOU

前回のエントリーに「AEIOU」について一言だけ触れ、ついでに写真を掲載したところ、西洋史に詳しい近藤さんが目ざとく見つけてコメントを頂きましたので、「AEIOU」とフリードリヒ門について、もう少し付け加えておくことにしました。 15世紀半ば…

ブルックナーの風景(9): リンツから聖フローリアンへ

ブルックナーはリンツで12年を過ごし、二つの教会のオルガニストとして確固たる地位を築きました。さらにジーモン・ゼヒターとオットー・キッツラーから理論を学んで、ヘ短調の習作交響曲と交響曲第1番を作曲し、本格的に交響曲作家への道を歩み始めた重要な…

ブルックナーの風景(8): リンツ大聖堂とリンツ市教区教会

ブルックナーが32歳の時にリンツに来て12年間オルガニストとして仕えた大聖堂と市の教区教会を訪ねました。巨大なゴシック様式の教会は外から見ても、中に入って天井を仰ぎ見ても、建物が宇宙に向かって突き抜けようとする感覚を覚えさせられます。リンツの…

リンツ

ウィーンを後にリンツに出かけました。およそ200キロ弱。ウィーン西駅から特急列車に乗って1時間半ほどの旅です。 リンツは、ウィーン、グラーツに次いでオーストリア第3の規模を誇る都市ですが、ウィキペディアで調べてみると、人口はたったの19万人で、ウ…

ブルックナーの風景(7): ヴァイヒブルク小路3番地

これもインターネットの世の中になったおかげで、旅行が変わったという類の話です。今回のウィーン旅行ではブルックナーをテーマにして色々と歩いてみたわけですが、そのためにあれこれとネットを検索して情報を仕入れました。その中で、ひとつよく分からな…

ブルックナーの風景(6): カールス教会

カールス教会は、聖シュテファン大聖堂やヴォティーフ教会などと並んで、ウィーンに来ると誰もが自然と目にする印象的な教会です。18世紀初頭に時の皇帝カール6世がペスト撲滅を祈念して建てられたという建物は、巨大な丸屋根とその両脇に屹立する円柱が独自…

ブルックナーの風景(5): ピアリスト教会

歴史に残る音楽家としては異例の遅咲きだったブルックナーは、リンツ大聖堂のオルガニストに就任したのが32歳の年だったのですが、その実上昇志向のあった彼は虎視眈々とより大きな都市でしかるべき地位に就きたいと願っていたようです。ウィーン音楽院(現…

ブルックナーの風景(4): アルサー教会

以前、ブルックナーの弟子であるカール・フルビーが彼の師との最後の邂逅の場面を書き記した文章を紹介したことがあります。オルガンの演奏を終えて教会を出てきたブルックナーと偶然に顔を合わせたフルビーが、師の帰り道に同行する際に「交響曲第9番の第4…

ブルックナーの風景(3): ベルヴェデーレ宮殿

ウィーン旧市街のすぐ外に広がるベルヴェデーレ宮殿は、かのプリンツ・オイゲンが18世紀初頭に作らせた夏の離宮で、今回訪れた場所の中では美術史博物館とともに最も観光地らしい観光地でした。どんよりと雲が垂れ込めた朝の9時少し前に宮殿入口に着くと、開…

ブルックナーの風景(2): ヘス小路7番地

ヴェーリンガー通り41番地からちょうど1キロ、都心の方向に向かって歩くと、ウィーンの旧市街の北西の端にあるショッテントールに着きます。今までウィーンには2度来ましたが、最初に学生の時に来た時には国立歌劇場とその近辺しか歩いていないし、2度目は仕…

ブルックナーの風景(1): ヴェーリンガー通り41番地

今回の旅ではブルックナーの痕跡を尋ねるのをテーマにしました。このブルックナーというのは、私が好んで聴く作曲家というだけのことで、他の皆様にとっては「だから何なのよ」の世界です。たぶん、このエントリーには、「ブルックナー、ウィーン」などと検…