2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

名和小太郎著『著作権2.0』

勤め先で一月ほど前に出した本で、とくに話題にもなっていないが、これはビジネス書としてすばらしい一冊。ITビジネスにかかわる多くの方にお勧めしたい。現在、国際的な著作権のあり方を基礎付けている国際条約であるベルヌ条約が、その制定当時に存在した…

自然は変わらないが、人の欲望はもっと変わらない

先日、白馬岳の帰りがけに蓮華温泉を訪れたら、蓮華温泉ロッジの廊下に、日本アルプスの紹介者にして日本に近代登山を導入した人物であるウォルター・ウェストンの写真と、彼がこの地を訪れたことを紹介する一文が掲げてあった。ウェストンは、19世紀後半の…

なんとか北アルプスに登れた理由

昨日、下川さんから「膝大丈夫?」とやさしくお声がけいただいたので、その話を少し。春に大山に登ったときに膝が痛くて、やはり山は無理かもしれないと思った。そもそも2年前に泊まりがけで丹沢主稜を歩いたときに、とりわけ下りで大いに難儀し、この体験以…

一眼レフだったら

白馬岳に登る際、一眼レフを携えての登山は諦めた。テントを加えたザックは16キロ強。かつて、20代の頃ならば、これしきの重さは「ほとんど空身」と思ったことだろう。実際、かつては20キロ以下の荷物で幕営山行などしたことはない。しかし、わたくしはもう2…

宮崎のおっちゃんの言うことはきらいじゃない

宮崎駿さんのことですけど。他人の受け売りですが、おっちゃんは、養老孟司さんとの対談で、「情報とかインターネットっていうのは、基本的に相手を操作しようとする願望じゃないかと思うんです。相手に自分の影響力を与えたいということなのではないか。」…

塗り替えられていく記憶、常に新しい記憶

撮った写真を最初に見たときに「実物と違う!」という違和感を持つという話を昨日書いたけれど、多くの場合、次の瞬間にはその写真に目は奪われ、その撮った写真を記憶する以上のことができなくなる。実体験は写真によって上書きされてしまう。しかし、中年…

旅の写真

写真をカメラが写すように写るものと達観したり、あるいはカメラが行うデフォルメを楽しむように写そうと心に決めて写す限り、写真に対する不満はそれほど生じることはないけれど、今回の白馬岳登山のように、記録のための一枚を目指したとたんに映っている…

栂池高原-白馬大池-白馬岳-蓮華温泉(5)

【3日目】■白馬岳から白馬大池へこの日は山頂直下の幕営地から山頂を越え、ふたたび白馬大池まで下る短い行程である。 朝 4時に目を覚ますと、頭上には天の川が流れ、満天の星がまたたいていた。そうした空を見たのは、いったいいつぶりだろう。ひさしぶりに…

栂池高原-白馬大池-白馬岳-蓮華温泉(4)

■白馬大池から白馬岳へ 白馬大池(2469m)に着いたのは午前11時前。 この日はここに幕営し、翌日白馬岳にピストンで出かける計画だったのだが、同行者が「まったく疲れていない」というので、予定を変更して山頂まで登ることにする。「雷鳥坂」と名付けられた…

栂池高原-白馬大池-白馬岳-蓮華温泉(3)

【2日目】■白馬乗鞍岳を超えて白馬大池へ久しぶりに本格的な山に行くことになり、事前準備のために情報を収集しようとネットを検索してみると、登山愛好家が綴っている質の高い山行記録のブログが山ほどある。ブログを数年書いていて、さらにときにはこうや…

栂池高原-白馬大池-白馬岳-蓮華温泉(2)

■栂池ヒュッテ今回の山行で最初の夜に泊まったのは栂池ヒュッテ。この施設を山小屋の延長線上にあるものと思い込んでいた僕は、あまりに洗練された施設にびっくりしてしまった。もし、逆にここが旅館やホテルの一種だと考えて泊まった人がいれば不平不満を洩…

栂池高原-白馬大池-白馬岳-蓮華温泉(1)

北アルプス・白馬岳に夫婦で登ってきた。日頃の垢を落としに本物の垢をしこたま作りに行く旅である。本格的な山登りからはずいぶんと遠ざかっており、アルプスに足を踏み入れるのは、やはり二人で20代半ばに北岳に登って以来になる。テント行も、30歳以降は…

小さいけれど、はっきりとした心の高揚

『technophobia』のphoさんがこれまで携わってきた特許関係の仕事をいったん辞めて、キャリアを深めるためにシンガポールの大学院に行ったり、勢川さんが、ミシン型発電機の延長線上でインドに行ったり、このところ立て続けにこの界隈で海外体験にまつわる話…