下野竜也指揮読響のブルックナー交響曲第9番

下野竜也指揮の読売日本交響楽団ハイドン交響曲第9番とブルックナー交響曲第9番を聴いてきた(9月9日、サントリーホール)。9月9日に2つの9番という洒落なのだそうだ。

1年半前に同じコンビで聴いたブルックナーの5番がたいへんに素晴らしく、その印象が強いので、悪かろうはずはないと全幅の信頼を胸に出かけたのだが、期待は裏切られなかった。

下野さんは、この2度しかちゃんと聴いたことがなく、他の演目でどんな演奏をするのかはまだ知らない。ことブルックナーに関する限り、実に聴かせどころのツボを抑えたいい表現をする。曲の進行に一層の注意を換気するようなアーティキュレーションの柔らかい変化を織り込みながら、綺麗に曲の山、谷を作っていく。手練の文章を読むような、自然な展開を感じさせるブルックナー。日本人指揮者のブルックナーとしては、今まで聴いてきた中でもっとも納得感が大きい演奏をする指揮者かもしれない。

フルートが活躍する曲なので、そこに名人がいるようなヨーロッパのオケを振ったらいい演奏になるだろうなと思った。読響が悪いという訳ではないが、まあ。