悪い夢

出来ないことをやらなければいけない立場に立たされる夢を時々見る。例えば、大ホールで開かれるコンサートに協奏曲のソリストで呼ばれ、演奏しなければならないという状況に巻き込まれるのである。自分がそんな場所で満足に弾ける曲など一曲たりともないのに。それなのに、プロのオーケストラと名曲を聴きに集まって来たお客さんの前で、その弾けないさまを披露しなければならない。「どうしよう」と青くなり、本当に舞台に立たなければならないのだろうかと困惑がどんどん広がっていく最中にぞっとして目が覚める。

このバリエーションで、指揮台に立たされそうになるのもある。初見でオーケストラの楽譜なんか読めるわけがないのに、シカゴ交響楽団を指揮しなければいけないのである。シカゴ交響楽団というのが、我ながらおかしいが、ワタクシの夢がそう指定してくるのだから仕方がない。楽団員は、かつて東京文化会館で聴いたときと同じ白のユニフォームをきているのである。プロの演奏を肴に生意気なことを言い続けているバチがこういう形で当たるのだなと思う。因果応報である。

これに対して、昨晩起きがけに見たやつは今までにない新しいパターンだった。新聞の一ページを全部もらえるので何かを書かなければならない。ところが、問題はそれが決まったのが締め切りまであと2時間しかないというタイミングである点だ。その間にテーマを決めて、調べ物をし、人様に読んでもらえる文章に仕立てなければならない。それは事実上不可能だ。いつものように「どうしよう」と焦るうちに目が覚めた。