イヤホン選び

ウォークマンで音楽を聴く目的で、1万円前後のイヤホンをあれこれと視聴してみると、自分の趣味に適うのは、ゼンハイザー、フィリップス、AKGといったあたり。ゼンハイザーは、ドイツ。フィリップスはオランダ。AKGオーストリア。見事に欧州メーカーが揃うことになった。

日本の製品は、どれも高音がきつく、オーケストラを聴くと、どうしてだかしらないが中音に潤いがなく、全体の音の厚みが聞こえない。残響感が不自然である。これは考えすぎ、言い過ぎかもしれないが、日本の製作者は生の楽器の音を知らないんじゃないか、コンサートホールで鳴るオーケストラの音が体に染みていないんじゃないかと思ってしまう。「ポップスなど別の分野にチューニングされているんだ」と電器店の店員は言い、おそらくそれが正しい言い分なのだろうと思うが、上と下が強調され、ゆったりとした音の厚みが聞こえない装置では、オーケストラはそれらしく聞こえようがない。今回のイヤホン選びはいやがうえにも欧州勢からということになる。

それにしても、欧州の若者がデジタルプレイヤーでポップスを聴かないのかと疑問が頭をもたげる。そんなことはないはずだ。だのに欧州のイヤホンは弦の響きを率直に聞かせるということは、ポップス、クラシックといった音楽の種別に応じたマーケティングの問題である以前に、響きそのものに対する嗜好の平均値と分布が文化に応じて異なっているということを示しているのだろうと思う。

さて、どれにするか。