HASHIさんが展覧会を開催する

写真家のHASHIこと橋村奉臣さんにお会いした。1年ぶりの再会である。

以前から拙ブログをご笑覧頂いている方には、HASHIさんの名前はしばしば登場するブログ仲間同様、なじみ深い響きであるはず。長くご自宅を持つニューヨークでご活躍を続け、広告写真の世界では、世界に名をとどろかす存在である。

前回、2006年秋にHASHIさんが東京都写真美術館で開いた展覧会は、三上さん(id:elmikamino)や美崎薫さん、mmpoloさん(id:mmpolo)、fuzzyさん(id:fuzzy2)、rairakkuさん(id:rairakku6)といった方々とリアルでお会いする最初の機会となり、結果的にブログの仲間が広がるきっかけとなった。HASHIさんは我々にとって縁結びの神様でもあるのだ。

HASHIさんについてご興味がある方は、ご本人のホームページと、それに今年の1月に三上さんがお書きになったHASHIさんのアンソロジー付きエントリーをご覧下さい。


■HASHI(橋村奉臣)・アンソロジー(『三上のブログ』2009年1月20日)


たまたま昨日、「中年の情報発信」という話題でid:segawabikiさんやid:hyoshiokさんらとブログ上の楽しい意見交換をさせていただいたのだが、歓談の途中でHASHIさんがもうすぐ64歳になるとご本人から聞いて、あらためて表現者は歳をとらないことに目を見開かされる思いがした。もちろん、人は時間に流れに抗うことかなわず、等しく歳をとっていくのだけれど、表現者は、その表現者たる部分において生物学的な加齢や世間的な成熟とは別種の時間を生きている。それが見た目にも正直に表れる。目はお子様の輝きが宿り、発散される気には若者のような棘すらある。

こういう人は、普通の人間とは違う、ある種の怪物なのかどうか。思い返すと、僕自身は、知り合った当初の頃は、おそらくそうなのではないかと思っていた節がある。出てくるエネルギーのすさまじさにたじたじとなり、ちょっと普通の人とは違うと後ずさりするようだったように思う。だが、今は、無理矢理にでも「そんなに違わない」のだと思うようにしている。あと一歩の努力、集中力、執着心、よい意味でのわがままさを持ち続けられれば、HASHIさんほどの成功はかなわずとも、人に投げやりな人生は訪れないはず。これはHASHIさんばかりでなく、尊敬する諸先輩のひとりひとりを思い浮かべるたびに感じることだ。

そのHASHIさんだけれど、三上さんが1月の時点でお書きになっているように、この9月から東京上野の国立西洋美術館で展覧会を開催なさる。昔から泰西名画展覧の牙城であり、我が国の美術館のヒエラルキーのトップに立つといってよい西洋美術館が、存命の作家の展覧会を開催するのは例外中の例外らしく、HASHIさんに対する周囲の評価の高さと期待は自ずから明らかである。


http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/upcoming.html