横浜フィルハーモニー管弦楽団第61回定期公演

tsuyok(id:tsuyok)さんが参加しているアマチュア・オーケストラの定期公演を聴いてきた。

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終演後には辻さん(id:Ronron)、羊姫さん(id:sheeplove)と落ち合って、雨の横浜中華街に。楽しい半日だった。筆の速いheeploveさんがすでにこちらにお書きになっていらっしゃる。この人、文章うまっ、と感心するのは、中華レストランでしたたか笑わされたおしゃべりの雰囲気がそのまま活字になっているから。たいしたものですね、とtsuyokさんのオケの話は後回しになってしまうところも、昨日の中華街そのままである。


■横浜フィルハーモニー管弦楽団定期公演&中華街(『cahier de l’amour』2009年5月6日)


さて、肝心のコンサートの方だが、開始の合図である銅鑼が鳴り、ほどなくみなとみらいホールのステージに出てきた団員の皆さんの年格好を見ると、一様に若い。僕のように髪が薄くなった人は数えるほどしかいない。いや、ちゃんと数えたわけではないけれど、ともかく若いし、女性の比率がけっこう高い。なんか、いい感じ、元気のいい音が出てきそうと思ったら、そのとおり、アマオケとは思えないしっかりとした音がワーグナーの『さまよえるオランダ人』序曲となって出てきた。

「オランダ人」序曲を冒頭にもってくる辺り、「バリバリ弾いてやるぜ」という自信の表れと見るべきかどうか分からないが、ともかく、このオケはきちんと元気よく音が鳴るし、どうやら団員の方々の演奏レベルのばらつきがかなり小さいらしく、弦の音の濁りや音程の不安定さがあまりない。そして、とても生真面目な演奏をする。この生真面目さは合奏がないと音楽が出てこないオーケストラの性質上、いい楽団である基本要件を満たしているということかもしれない。ただ、この長所は「真面目な人って、退屈」という感想に陥る危険とも隣り合わせでもあるわけで、この辺りの危うさは「オランダ人」やそれに続いて演奏された「ローエングリン」の有名どころを聴いていると、ちらと頭をかすめてしまうのも事実である。フレーズがもっとうねって流れてくれたら、まさにワーグナーを聴いてる嬉しさに浸れるところだが、ところどころ五線紙が見えちゃうような気分にさせられてしまうというか。いや、ちょっと書きすぎたかもしれない。それができりゃあプロの団体だろう。そんな注文をしたくなるほど、弾ける団体、素晴らしいオケである。

木管の音が引っ込みがちに聞こえた1階の席をきらって、後半のマーラー交響曲第4番は3階の後ろの席で聴いた。僕がいつも好んで聴く遠い音なので、ここだとオケの特徴が自分なりによく分かる。

マーラーは素晴らしい演奏だった。正直なところ、ここまでマーラーらしい演奏が聴けるとはまるで予想しておらず、嬉しい誤算を十分に堪能。こちらは管も弦もよく歌い、パーカッションは繊細な4番の世界に十二分に対抗していた。終楽章に歌った山田英津子さんの歌がまたこの曲にどんぴしゃの声と表現でさらに嬉しくなった(小耳に挟んだところでは、名指揮者・故山田一雄さんのお身内とか)。ワーグナーでちょっと感じた生煮え感はなく、マーラーの音楽そのものに浸ることができたと言ってよい。
素晴らしいコンサートを聴かせて頂いたtsuyokさんに感謝。