mmpoloさんの銀座

mmpoloさん(id:mmpolo)と銀座を歩くのは無茶面白かったぞ。
すでに三上さんがお書きになっているとおり、先週、半日休みを取って、mmpoloさんと三上さんの銀座の画廊巡りにくっついて歩いた。

■銀座巡礼(『三上のブログ』2007年2月13日)


三上さんは初めてだったようだが、僕にとっては毎日かすめて通る街であるはずなのに、mmpoloさんのマジックによって銀座はあたかも生まれて初めて歩くかのような土地に変容した。えっ、こんなところにあるの、という感じで、いつも歩いている通りを一本隔てたところ、先を数十メートル進んだところに小さな画廊がぽつりぽつりと隠れている。そんな場所を一つ一つと訪れるたびに、まるで知らない街を案内されているかのような感覚はどんどん濃くなっていった。


mmpoloさんは、趣味で年間延べ2千件の画廊を回るという方だ。画廊なんてまったく行ったことがない者がくっついて歩いて勉強するのにこれ以上の先生はいないだろう。この日もmmpoloさんの先導にしたがって、出ては入りを繰り返すこと17件。入り口のくぐり方だとか、作家との会話の仕方だとか、あるいは気に入った作家であれば記名帳にサインをすると喜ばれるとか、記名帳の名前の数は画廊にとって集客力を表す営業ツールになるんだとか、そもそも画廊には3つの種類があるんだとか、いろんな作法や知識を実地で勉強させていただきながら、さまざまな作品を見て回った。画廊主が「あっ、mmpoloさん(もちろん、ほんとはここにはご本名が入る)、どうもお久しぶりです」「mmpoloさん、いらっしゃい」などと声をかけてくるし、記名帳の名前を確認した作家さんが、「お顔とお名前が一致せずに失礼しました」と挨拶してくるし、一緒に歩くこちらは気分的に楽なもんである。これで、いちおう「銀座の画廊なんて一見の客が入れるところなのかな」という無知のレベルを脱したうえに、いちおう、ドアを開けて出てくる真似はできるようになったかな。


でも、いちばん勉強になったし感銘を受けたのは、mmpoloさんが作家の皆さんと会話する様子だな。中には名前を聞いたことがある有名作家も一人だけいたけれど、mmpoloさんが連れて行ってくれたのは、ほとんどが若手の展示。若い作家の作品からいいところを見つけて激励する姿にはほれぼれした。三上さんも「全身が痺れるほど感動しまくっていた」とお書きになっている。その様は昨日のエントリーで紹介した吉田秀和さんの姿勢ときれいに二重写しになって僕には見えた。「私の趣味はこれ」と意識が向かう先を狭い範囲に限定するのではなく、虚心坦懐に作品に接して、よいところを見つけて楽しむ。面白くないものを駄目だ、駄目だとあげつらわない。mmpoloさんとは吉田秀和さんの作品への言及をきっかけに知己を得たのだが、あらためて何故mmpoloさんが吉田さんのことをブログで取りあげていたのか、その理由が分かったような気がした。