本の話

洗練されたビューアーがブログを進化させんことを

自分自身のニーズとしてはっきりわかったことがある。僕がいま欲しいガジェットは、電子出版を読む端末ではなく、ウェブコンテンツをもっと手軽に、目に優しく、気軽に、紙の雑誌を読むようにして読むデバイスである。この数ヶ月、電子出版のニュースはウェ…

電光一閃

ある種の情報はその神秘性ゆえに付加価値をまとう。こういうのは辛いねえ。 ■しゃーないから、My Open Archiveに投稿してみたyo!(『simpleA』2010年7月6日) ■「おとといきやがれ」って言われたので、これはチャンスだね(『simpleA』2010年7月8日) 評価軸…

東京国際ブックフェア

東京国際ブックフェアに行く。一昨年、昨年に続いて3度目の訪問だが、過去2度の体験と比べると、今年のショーの様子はかなり違って見えた。昨年まではいかにも本の展示会ですという体裁だったのに、今年はむしろITの催し物に出版社の出展がくっついているか…

いずれにせよ終わりつつある産業という認識

書籍出版を文化の営みとしてではなく、もっぱらビジネスとして考えると、雑誌を合わせてもせいぜい売上規模で2兆円にいくとかいかないとかといったレベルだ。大きな企業ならば、1社か2社で稼ぐぐらいの規模だから、産業としてはとても小さい。いま、マスメデ…

電子でも紙でも変わらないこと

iPadの発売で電子書籍は世の大きな話題になってしまった感がある。なんだか頭がくらくらするよう。さまざまな端末を消費者が選べるようになるのはよいとして、あれやこれやのフォーマット、さまざまなプラットフォームが乱立して、大きな会社ならいざ知らず…

iPadで刺激される物欲について

iPadとキーボードを購入し、家でノートパソコン代わりに使おうかと思っていたのだが、天の邪鬼の性格故に販売店の混雑ぶりを眼にすると「皆が競って買うものを自分もあわてて手に入れることはない」という気分になる。モノ自体は勤め先のUさんが予約購入した…

iPadブーム

勤めの帰り、家電量販店に寄った。iPadのコーナーは黒山のというのは大袈裟だけれど、結構な人だかり。一方、その隣に広がるノートPCのコーナーは閑古鳥が鳴きそうなありさまである。その横に立ってお客さんが店員さんに質問をするさまを見ながら、これは本…

kindleの「印税」70%騒動の一端は「印税」の解釈違い?

電子書籍に対する急激な関心の高まりには「アマゾンがアメリカでやっている電子書籍のスキームは販売価格の70%を著者に還元すると言っている。現行の紙の書籍では10%なのが電子書籍になれば70%! こりゃおいしい!」という著者やその予備軍の皮算用が大き…

田代真人さんの講演を聴いたり、ニューヨークのkindleを思ったり

アゴラ起業塾「成功する電子書籍ビジネス」を聴講してきた。講師は株式会社アゴラブックス取締役の田代真人さんで、編集者として長く活躍なさっている方だ。講演の内容は出かける前に想像していたのとは正反対だった。アゴラブックスの役員の話だから、電子…

エンドユーザーにとって電子書籍は何と競争しているのか

一昨日の朝、『The Power of Words』で『もしドラ』をiPhoneで読んだら紙の本よりも読みやすかったという話を読んで、好奇心が疼き、すぐに当の電子書籍を購入。■もしも「もしドラ」をiPhoneで読んだら(『The Power of Words』(2010年5月19日) その夜に開…

電子書籍をめぐるイデオロギーの発露は感心しない

佐々木俊尚著『電子書籍の衝撃』には教えられるところは少なくなかったが、この本で語られているイデオロギーには納得できなかった。 佐々木さんは、(一部の)出版関係者が電子書籍の流れを批判し、グーグルはいいとこどりだと批判し、「自分たちが出版文化…

本の売上の話

既存の出版社が紙の出版から電子出版に乗り換える、あるいはハイブリッドに紙と電子の二股をかけてあるコンテンツを世に送ろうとした場合にたちまち突き当たるのは、電子で紙と同等の売上高を上げるのは簡単じゃなさそうだぞという問題だ。どういう意味でそ…

酔っぱらいブログ book2

「KindleとiPadとどっちがいいか」という問いかけがWeb上のあちこちで話題になっている。とりとめなく、この種の情報を行き来し、ワインを啜るという時間を過ごしている。今日のはチリ産で、帰りがけに近所のスーパーで500円で安売りしているのを入手してき…

紙の本はますます貴重品に

昨日、電子出版に関し、「狭義の書籍に関しては空騒ぎでは」と書いた。エンドユーザーの側に電子端末を介した読書に乗り換えるニーズが顕在化しているとは思えないという意味で、「やっぱりエンドユーザーのニーズが問題でしょう」という意味でそう書いたの…

電子書籍

電子書籍の本格的な産業化に関して、さまざまな思惑や感情論が噴出しつつあるように見える。私はこの分野がビジネスとして勃興し、経済的な不合理が改善され、国民の福利が昂進されるひとつのきっかけになればよいと純粋に願っている。ただ、電子書籍端末が…

ニューヨークの通勤者が電子ブックを皆で開いている光景を想像する

phoさんのエントリーを読んで、日本においてもペーパーバック読みの人たちにはKindleを使うあからさまなメリットがあることが理解できました。すとんと腑に落ちた感じです。私自身はペーパーバックって、ただの一度も読んだことがないんです。まったく自分の…

電子書籍リーダーが気になって仕方がない

この前のエントリーで紹介させて頂いた池田信夫さんのエントリーには「インターネットによって新聞や雑誌が打撃を受けたのに対して、書籍への影響が相対的に軽微だったのは、モニターで数百ページも読むのが生理的に困難なためだが、この問題は電子端末で解…

電子出版の話の続きを少し

池田信夫さんがちょっと前に「自費出版の時代」というエントリーをブログにお書きになっています。 ■自費出版の時代(2010年2月11日) いつもながらの切れ味鋭く、単刀直入で分かりやすいものの言い方で、たいへん勉強になりました。この中で池田さんは、Kin…

新しい出版の担い手を待望する

この業界に長い人に話を聞くと、雑誌を含めた出版物の市場はここしばらく“2兆円産業”という言われ方をしてきたらしい。いちばん威勢のよかったのは90年代の半ばで、その頃には2兆5千億だか、6千億円だかまで出版市場は拡大した。しかし、それ以降は坂道をゆ…